−気まずい二人−

↓ おまけSS ↓

―――30分前のこと。
二人は異空間を雑談しながら並んで歩いていた。(とかいう設定らしい)

雑談が途切れた頃、

「・・・なぁ、ウィニエル」

フェインは隣を歩く天使に話しかける。

「はい?」

天使は彼を見上げ、笑顔で返事をする。

「・・・あ、いや・・・何でもないんだが・・・先は長いな」

フェインはつい天使に声を掛けていたことに気付き、改めて今の状況を伝える。

「はい・・・所でここは何処なんでしょうね」

天使も改めて今自分達の置かれている状況をフェインに訊ねた。

「どうやらまた罠に掛かったらしいな・・・」

またと言うのは、以前にも罠に掛かったということであり、以前は魔導士達に森の中を封鎖され出られないようにされたのだった。その時は川を渡ることで閉鎖された空間を脱することが出来たのだが、今回はそうも行かないらしい。
何の当てもない中、どちらかと言わずに歩き出し、二人はこの異空間を彷徨い歩いているのだった。

「そうですか・・・では何とかして出なくてはなりませんね」

天使は特に慌てる様子もなく、冷静に目の前に広がる空間を見渡す。

「ああ、俺が何とかしよう。 ・・・そういえば、翼はどうしたんだ?」

フェインには何か解決策があるのか、頼もしいことを告げ、隣の歩く天使の背中をふと見た。

「あ、仕様らしいです(いや、忘れたとか?)・・・じゃなくて、この空間に入ってから消えてしまって」

刹那ふっと微笑み、首を横に軽く2・3度振った後、天使は再び仄かに微笑む。

「仕様?(ま、いいか) そうか・・・こうして君が一緒に歩いているのを改めて見ると、君は普通の人間と変わらなく思えてくる」

首を傾げてからフェインは仕様のことは気にも留めず、天使の今の状態をまじまじと見て関心したように頷く。

「ふふっ。そうですか? 私もフェインとこうして一緒に歩くのは楽しいです」

天使はフェインの楽しそう(?)な顔を見て、口元を緩めて優しく微笑む。

「そうか、俺もこうして君と歩くのは悪くないな」

フェインも天使に釣られて不器用に笑った。

「この空間は暗いですけど、あなたが居ればきっと大丈夫です」

他意はない・・・。
天使は勇者としてのフェインを信頼している。
そこから出た言葉だった。

「え? あ、ああ・・・」

フェインは天使の言葉に立ち止まってしまう。

「フェイン? 立ち止まってどうしたんですか?」

天使はフェインより半歩先に足を出したが、元に戻し歩みを止めた。
この天使はどうやら、誰かと歩く時は半歩下がって後ろを歩くか、並んで歩くかのどちらかしかしないらしい。

・・・いや・・・俺にはセレニスが・・・

天使の言葉をつい深読みし、フェインは小声でぼそぼそと呟く。

「? 何を言ってるのかよく聞えませんけど・・・?」

小首を傾げて天使は隣のフェインを見上げた。

「いや、何でもない。先を急ごうか」

フェインが再び歩み始めると、天使もそれに合わせ歩き出した。


―――5分後。


「・・・フェイン。もしこの空間からずっと出られなくなったらどうしましょう」

未だ先の見えてこない空間に天使は例え話をした。
不安・・・ということではないのは、表情が全く曇っていないことからわかる。
天使の瞳は意志の強さを携え、生き生きと輝いている。

恐らく、ただの暇潰しなのだろう。それともやはり、仕様なのか・・・。

「ん?」

フェインが天使の発言に耳を傾ける。

「・・・そしたらフェインと二人きり・・・」

他意は・・・やはりない。
この状況のまま出られないならそうなるのは当然だという意味で口走ったまでのこと、だった。

「・・・・・・・・・」

だが、フェインにはそう取れなかったようで・・・。彼は黙り込んでしまった。

「あ、いや・・・別に変な意味では・・・ただ、二人だけだと淋しいかなって・・・思って・・・(ローザや他の勇者達にも会えないし・・・)」

他意は・・・本当に全然ない。
このままこの空間から出られないなら二人きりになるのは致し方ないわけで、そうなったら誰とも会えなくなるのも当然で、天使はただ淋しがりなために、大勢いた方がいいと思っただけだった。

「・・・いや、別に淋しくはないが・・・」

意外な言葉を告げたのはフェインだった。
天使の言葉に特に何も考えもせず、返答を返す。

「え?」

天使はフェインの言葉の意図がわからず、立ち止まって、つい、隣のフェインを見上げた。

「・・・君が居るなら淋しくはない・・・」

フェインも立ち止まり、天使の方を見る。
またしても、言葉が勝手に口をついて出てゆく。 (しかも、それに気付いていない)

「へ? ・・・あ! 出口です! 良かった、見つかって。ね、ほらフェイン。あっ!」

天使は間の抜けた声を上げて、フェインから視線を少しずらした。ずらした視線の先に明かりが目に入ると、フェインに出口だと告げ、彼に出口を確認させようと腕を取ろうとして、何故ここで躓くのかは疑問だが前のめりにつんのめる。 (仕様です)

「大丈夫か!?」

フェインは自分の胸に飛び込んで来た天使を慌てて支えた。

「・・・・・・は、はい・・・ごめんなさい。歩くのまだ慣れてなくて・・・(あれ? この体勢って・・・)」

天使は転ばなかったことをフェインに感謝しながら謝り、爪先立ちな自分に気付く。

「・・・ウィニエル? ・・・・・・(こうして見ると本当に人間なのにな・・・)」

自分の腕の中にいる翼のない天使をフェインはじーっと見下ろし、ふと考える。

「・・・・・・(私、今フェインに抱かれてる・・・!?)」

天使は今の状況にやっと天ぱり、言葉を紡げなくなってしまった。

「・・・・・・(こんなに細い身体で世界を守ろうと戦っているのか・・・人間だったらもう今頃結婚でもして幸せに暮らしているだろうに。ウィニエルくらいの美人ならどんな男でも・・・例えば俺もセレニスがいなかったら・・・)」

フェインも言葉を発することなく天使を見つめている。

「・・・・・・(フェイン・・・どうしたんだろ・・・ずっとこっち見てる・・・)」

この天使は見つめられると恥ずかしくなるらしく、頬をほんのりと赤く染める。
頬を赤く染めたのは見つめられてる相手がフェインだからなのか、それとも誰にでも?

「・・・・・・(・・・セレニスがいなかったらって何だ!? ・・・ん? ウィニエルが俺を見てる・・・)」

フェインの喉を大して出もしない唾が音を立てて飲み込まれていく。

「・・・・・・(ど、どうしよう・・・何だかドキドキしてきたわ・・・早くここから出ないのかしら・・・)」

身動きできない天使の心臓が早鐘を打っていた。

「・・・・・・(ウィニエル・・・何で顔を赤くして・・・あ。そういやまだ彼女を放してやってないな・・・けど・・・もうしばらく・・・いいか・・・?)」

やっと気付いたフェインだったが、天使同様動けなくなってしまう。


互いの思考は違うが―――。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

二人とも出口を前にして二の句を互いに告げられないまま気まずい時が流れてゆく。



アルカヤのことは置いといて、もう少し、このままここにいられたなら。



そんな雰囲気になったかは、ビミョ〜。


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*後書き*

いや、あの、イラストがメインなんです。
ついでにミニストーリー付けちゃえってことで、 ちょこっと書いてみました。

まだ二人は互いにそんなに意識してません。
というか、気付き始めのきっかけみたいな?(←こじ付け)
この後「贖いシリーズ」に発展していくとか、いかないとか。

ちょっと!キスもHもしてませんわよ、奥様!(爆)
あ、ここは全年齢ページでした・・・ごめんなさいm(_ _)m
っつか、ラブ度も低いな・・・( ̄д ̄;)
しかも何かノリが軽〜い?

イラストだけタイトル付けるなら、
「ふと立ち止まって二の句が告げない二人」

・・・長いから却下。

SS付けたら「気まずい二人」ですっきり。
やっぱシンプルイズベストです。
は〜スッキリスッキリ。

WEB拍手にて「イラスト描かないんですか?」
と嬉しいお言葉を頂いたので描いてみました。
実はイラストはフェバのイメージを崩し兼ねないので躊躇してたんです。
(まぁ、既に妙な挿絵でイメージぶち壊してますけど・・・どーもヨゴレですいませんf( ̄▽ ̄;))

ついでに、

人様の絵は大好きなのですが、 自分の絵もあんま好きじゃないし、イラストはパッと見て終わりそうなんで、 一つのお話書くのと同じ時間掛けるなら文章の方が ゆっくりしていって貰えるかなぁと思ったりもして描いてませんでした。
でも描くとこれが結構楽しい。
許されるなら、たま〜に描いていこうと思います。

使用画材 : シャーペン・フォトショップ